8月度の銘柄別CM好感度ランキング

CM総合研究所が発表する8月度の銘柄別CM好感度ランキングで、日本コカ・コーラの「コカ・コーラ」が3位にランクインした。期間限定で発売したカラーボトルを訴求する内容で、それぞれが夢中なものに打ち込む若者たちの姿を描き、女性ボーカルグループ、Little Glee Monster(リトル・グリー・モンスター、通称リトグリ)も登場。10代女性を中心に共感を得て、4年ぶりとなるトップ3入りとなった。

「コカ・コーラ サマー カラーボトル登場」編に、歌に夢中になっているティーンとして出演した女性ボーカルグループ、Little Glee Monster © NIKKEI STYLE 「コカ・コーラ サマー カラーボトル登場」編に、歌に夢中になっているティーンとして出演した女性ボーカルグループ、Little Glee Monster CM総合研究所調べ © NIKKEI STYLE CM総合研究所調べ

今年の「コカ・コーラ」サマーキャンペーンでは、「すべての夏がすばらしい。キミ色の夏を見つけよう!」をキーメッセージに「コカ・コーラ」「コカ・コーラ ゼロ」の全13色のカラーボトルを7月23日から期間限定で発売。CMでは、まず綾瀬はるかが氷水の中から赤のボトルを取り出し、それに続いて色とりどりのカラーボトルが出現。さらにロボット、コスプレ、将棋、ダンスなど様々なことに打ち込む若者たちが登場する。

今回のサマーキャンペーンでは、ティーンを中心により多くの方にとって身近なブランドになることを掲げており、若い人の「多様性」を応援する姿勢をメッセージとして打ち出そうと、ボトルの色で多様性を表し、CMではそれぞれが夢中になっている瞬間を描こうとしたという。

なかでも注目を集めたのが、CM曲の『世界はあなたに笑いかけている』を歌うリトグリがコカ・コーラのCMに初登場したこと。メンバーカラーの「コカ・コーラ」ボトルを持ち、歌に熱中している存在として画面に現れた。

CM好感要因を見ると、「出演者・キャラクター」をトップに「音楽・サウンド」「商品にひかれた」「映像・画像」「かわいらしい」と続く。調査モニターからは、「楽しそう」「生き生きした感じ」というCMの印象を記したコメントとあわせて、10代女性を中心に「大好きなリトグリが出ている」といったリトグリに触れた感想が目立った。

CM総合研究所の関根心太郎代表は、CMの人気をこう分析。「10代を中心に幅広い層の支持を得ました。理由のひとつは、もともと炭酸飲料が持っている若々しくて、はじけるイメージを今一度、映像でしっかり表現したこと。もうひとつは音楽の力。リトグリが初登場したインパクトがCM好感度に結びつきました。短いカットですが、リトグリが歌う場面だけアカペラになるといった細かい演出もさえており、見た人の印象に強く残ったようです」

『世界はあなたに笑いかけている』がCM曲として使われたのは2018年から。日本コカ・コーラ広報部によると、「『コカ・コーラ』の世界観やビジネスの方向性を理解いただいた上でつくっていただいた楽曲です。前向きで爽やか、若々しく、はじけるような楽しい楽曲に仕上がっており、人と人をつなぐメッセージも込められていて、ブランドイメージにぴったりだと思います」という。

また、リトグリの魅力については「研ぎ澄ました歌声で、人々の心に爪痕を残すことをテーマに結成された女性ボーカルグループ。力強い歌声と高度なアカペラをも歌いこなす透き通ったハーモニーを武器として、アジアをはじめ世界中で活躍している点が魅力であると考えています。メンバーの明るいキャラクターとひたむきなイメージなども、親しみやすく、多くの若者に支持されているのではないでしょうか」とも。

CM総研の関根代表は、カラーボトルの案自体が成功の大きな要因とみる。「自分は何色がいいかなとか、誰かにプレゼントするなら何色がいいかなとか、店頭でコカ・コーラを買うだけではなく、もうひと遊びできるのが、このキャンペーンの楽しさ。中身のコーラ自体は何も変わってないのに、新商品が出たかのように思わせる価値の付け方が巧みです」という。

日本コカ・コーラでは、現在はハロウィンキャンペーンを展開しており、その一貫で綾瀬はるかにトリックを仕掛けたウェブ動画を公開している。年間を通じた様々なキャンペーンの工夫で、高いCM好感度をキープしていきそうだ。

(日経エンタテインメント! 小川仁志)
■調査対象期間:2018年7月20日~8月19日(東京キー5局)

■当月オンエアCM:全2603銘柄

■東京キー5局でオンエアされたすべてのCMを対象に、関東在住の男女モニター3000人に、好きなCM・印象に残ったCMをヒントなしに自己記述してもらい、その得票数を足し上げたもの

■同商品の複数作品にオンエア・好感反応がある場合、代表作品は最もCM好感度の高い作品

■企業・銘柄名・作品名はCM総合研究所の登録名称であり、正式名称と異なる場合がある